なぜ私は、お相手ではなく「ご両親との関係」を聴くのか?
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「いい人なんです」が続く婚活
30代半ばのある女性は、お見合いも交際も順調でした。
面談のたびに、「誠実な方でした」「一緒にいて安心できました」と報告してくださいます。
それでも最後は、決まって同じ言葉で終わりました。
「でも、何か違う気がするんです。」
その「何か」が分からないまま交際を終え、また新しい出会いへ向かう。その繰り返しでした。
条件に大きな問題があるわけではありません。
相性が極端に悪いわけでもありません。
だから私は、お相手の話ではなく、少し違う質問をしてみることにしました。
「お母様なら、何ておっしゃるかしら」
「もし、その方をお母様に紹介したら、何て言われそうですか。」
彼女はすぐに答えました。
「たぶん……『いい人だけど、もう少し安定した会社の人はいないの?』と言うと思います。」
私は続けて尋ねました。
「では、あなたはどう思っていますか。」
彼女は黙ってしまいました。
しばらく沈黙が続いたあと、小さな声でこう言ったのです。
「……私、自分がどう思っているのか分からないです。」
その瞬間、目に涙が浮かびました。
選んでいたのは、私ではありませんでした
少し落ち着いてから、彼女はゆっくり話し始めました。
子どもの頃から、進学も就職も、大きな選択をするときは、いつも両親を安心させたいと思ってきたこと。
反対されたことはほとんどありません。
けれど、「がっかりさせたくない」という気持ちは、いつも心のどこかにあったそうです。
だから婚活でも、自分では気づかないうちに、「両親が安心する相手か」という基準で、お相手を見ていました。
「好きになれるか」より先に、「親が喜ぶか」が動いていたのです。
彼女は涙を拭きながら、こうつぶやきました。
「私、自分で選んでいるつもりでした。」
仲人が伴走するのは、「親離れ」ではありません
私は彼女に、「お母様の考えが間違っている」という話は、一度もしませんでした。
親は、子どもの幸せを願って助言してくれるものです。
その思いに支えられてきた人もたくさんいます。
だから大切なのは、親の期待を否定することではありません。
感謝はそのままに、自分の人生の選択だけは、自分で引き受けることです。
婚活では、こうした気づきが生まれる場面が少なくありません。
仲人は、成婚へ導くサポートをするだけではなく、「本当は誰の基準で選んでいるのか」を一緒に整理していく役割も担っています。
「私は、この人と生きたい」
数か月後、彼女は別の男性と真剣交際へ進みました。
面談で「ご両親は何とおっしゃっていますか」と尋ねると、彼女は笑顔で答えました。
「母は少し心配していました。
でも今回は、『ありがとう。あとは私が決めるね』と言えたんです。」
以前は、親に認めてもらえる相手を探していました。
今は、自分が人生を共に歩みたいと思える相手を見つめています。
その変化こそが、彼女の婚活を前へ進めた一番大きな理由でした。
ワーク:
もし、ご両親が何も意見を言わないとしたら。
誰にも評価されず、誰も期待しないとしたら。
あなたは、今交際しているその人を、自分の意思で選ぶでしょうか。
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
その問いと向き合う時間が、「誰かの人生」ではなく、「自分の人生」を歩き始める第一歩になるかもしれません。
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