心の準備が整ったとき、目の前の人が変わります。
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「普通の人」だと思っていました
30代後半のある女性は、婚活歴が四年を超えていました。
何人もの方とお見合いをし、交際にも進みました。
でも、最後はいつも同じ言葉でした。
「いい人なんです。でも、決め手がないんです。」
ある日、一人の男性と交際が始まりました。
誠実で穏やかな人でしたが、最初の面談でも彼女は言いました。
「普通の人、という印象です。」
以前なら、その言葉は交際終了の合図でした。
ところが今回は、少し違っていました。
仲人は、相手より先に「心の準備」を見ています
それまでの面談で、私たちは相手の条件よりも、彼女自身と向き合う時間を重ねてきました。
傷つくことを恐れ過ぎていないか。
親の期待で相手を選んでいないか。
違いがあるとすぐに減点していないか。
不満を言葉にできているか。
一つひとつ整理していくうちに、彼女は少しずつ「理想の相手を探す婚活」から、「目の前の人を知る婚活」へ変わっていきました。
婚活で変わったのは、お相手ではありません。
まず彼女自身だったのです。
同じ人なのに、見え方が変わりました
交際が二か月ほど過ぎた頃、彼女がこんなことを話してくれました。
「この前、風邪をひいたときに、彼が『ゆっくり休んでくださいね』と連絡をくれたんです。」
特別な出来事ではありません。
以前の彼女なら、「優しい人ですね」で終わっていたかもしれません。
でも今回は違いました。
「この人となら、安心して弱い自分を見せられる気がしました。」
その一言を聞いたとき、私は彼女の婚活が終わりに近づいていることを感じました。
相手が変わったのではありません。
相手を受け止める心の土台が育っていたのです。
運命の人は、完成品ではありません
彼女はその後、彼と成婚しました。
退会の日、笑いながらこんな話をしてくださいました。
「最初は普通の人だと思っていたんです。」
少し間を置いて、こう続けました。
「でも、普通だったのは彼じゃなくて、私の見方だったんですね。」
その言葉が、とても印象に残っています。
婚活では、「運命の人に出会えません」という相談をよく受けます。
でも、振り返ってみると、運命の人は最初から特別な人として現れたわけではありません。
何度も話し、違いを知り、支え合う経験を重ねる中で、「この人と生きていきたい」という存在へ変わっていったのです。
相談所が育てているもの
結婚相談所は、出会いを提供する場所だと思われがちです。
もちろん、それも大切な役割です。
けれど、私たちが本当にお手伝いしているのは、それだけではありません。
誰かを信じる準備。
違いを受け入れる準備。
傷ついても、もう一度人と向き合う準備。
そうした「心の土壌」を少しずつ育てていくことです。
土壌が変わると、不思議なことに、同じ人でも見え方が変わります。
その瞬間、「理想の相手を探す婚活」は終わり、「この人と人生を育てていく婚活」が始まるのです。
ワーク:
これまで出会った人の中に、「いい人だった」と思い浮かぶ方はいるでしょうか。
もし一年前の自分ではなく、今の自分がその人に会ったら、同じ印象でしょうか。
人は成長します。
だから、運命の人との出会いだけではなく、運命の人だと感じる自分自身も、少しずつ育っていきます。
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