私の婚活物語 「え?弟が結婚?」【5】
私の婚活物語「え?弟が結婚?」【5】
今回のブログは、婚活物語の第5回です。
完全にフィクションの話になります。
でも、実際にありそうなエピソードを満載して、日々婚活に奮闘している方々に共感してもらえるようなお話にしていきたいと思っております。
それでは、私、高橋美帆 の婚活物語、楽しんでいただけると嬉しいです。
私の婚活物語
「え?弟が結婚?」
【5】
にこやかで可愛い香里さんと健司を見送って、リビングに戻って来た母と私は魂が抜けたようにソファに座り込んだ。
ちなみに、父はすでに酔っぱらって眠りこけている。
そんな父を横目で見ながら、母が口を開く。
「ああ、なんか。やっぱり、疲れたわね」
「うん」
「健司にしては上出来だわ」
母が天を仰ぎながら、息を吐く。
「そうね」
認めざるをえない。
「ちょっと、これから色々と忙しくなるわね」
「そうかもね。ああ、でも、健司が結婚……か」
そう言って、私はふうっと溜め息をついた。
母が首を回すようにして瞳を細めて私を見る。
「--何?」
「なんでもないわよ」
母は諦めたように視線を天井に戻すと、ゆっくりと目を閉じた。
私はそんな母の横顔から目の前のテーブルに視線を移した。
先ほどまでの食事の食べ残しがまだそのままになっている。
分かってる。母が言いたいことは、分かってる。
――弟に先越されちゃったわね。あんたはどうなの?いい人いないの?
いたら苦労してないわ。
でも、まだ30歳だよ。今の結婚平均年齢ってちょうど30歳くらいだったはず。
遅くなんかない。
遅くなんかないけど……まあ、今、恋人もいないけど。
だいたい、香里さんがいい子過ぎた
あんな子、連れてこないでよ。
なんか、私の結婚相手に対するハードルが上がった気がする。
私はいったい、どんな素敵な彼を連れてこなければならないの?
健司なんかでも、あんな香里さんみたいなお嫁さんをもらえるなんて。
どう考えても、私が香里さんよりも優れているところが思い浮かばない。
歳は香里さんより二歳上だし。素直で明るい香里さんに比べれば、性格もひねくれているかも?
なんかさ、自分の価値の低さも再確認させていただきましたよ。
でも、じゃあ、香里さんより劣る私は、弟よりも何かと劣る人でないと釣り合わないってこと?
弟より下?
いや、待ってよ。弟はしっかりした会社に勤めているし、世間的にはまあまあ出来の良い部類に入るかもしれないけど。
でも、私にとっては生意気でヤンチャで、ぜんぜん頼りない、まだまだ心配なところがある弟よ。
そんな弟よりも下の人?でないと、私結婚できないの?
いや、待て。
思考が変になっている。
親への見栄とか、条件うんぬんを考えてる場合じゃないでしょ。
まず初めに好きな人ができないと、どうしょうもない。
うん。そう、まず、恋愛しないと。恋人を作らないと。
残り物を流しに運びながら、ふっと、溜息をつく。
でも、もう。どうやったら恋人ができるのかなんて、ましてや、どうやったら結婚できるかなんて、分かんなくなっちゃってるのよ。
~ to be continued ~