【婚活小説】「人生、次のフェーズへ」エピソード#2
- 成婚者エピソード
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目次
- 30代商社マン、翔のリアル婚活ジャーニー(フィクション)
- 第2話「条件だけじゃ、選べない。」
- 今の自分を見つめ直す
- “条件”ではなく、“感覚”で選んだ最初の出会い
30代商社マン、翔のリアル婚活ジャーニー(フィクション)
名古屋・千種の結婚相談所「ブライダルサロンbouquet(ブーケ)」の佐藤まさよしです。
私たち夫婦が今までお手伝いさせていただいた、「海外赴任が決まった男性会員」6名のエピソードをまとめ、一つの物語(小説)にしてみました。
ここでの登場人物はカウンセラーの佐藤香織以外は、架空の人たちです。ですが、皆さん、おおよそこのような状況で入会されて、成婚退会後に一緒に海外へ赴任されています。
これから婚活を始めようと考えている方、
実際に「海外転勤」の可能性の高い方、
海外へ一緒について行きたいと考えている方へ。
私たち「ブライダルサロンbouquet」のサービスをイメージしてもらいやすいように、フィクションで紹介させていただきます。
『人生、次のフェーズへ』~海外駐在が決まった僕が、結婚相談所で見つけた「本当のパートナー」
海外転勤が決まり、一緒に赴任してくれるパートナーを探そうと決めた『高橋翔』さんが、結婚相談所「ブライダルサロンbouquet」を選び、代表カウンセラー『佐藤香織』と共に婚活をし、最高のパートナー『中村遥』さんと出会う物語です。
全8話、お楽しみください。
第2話「条件だけじゃ、選べない。」
「理想の結婚相手って、どんな人ですか?」
カウンセラー・佐藤香織にそう聞かれた瞬間、翔は言葉に詰まった。
これまでの人生、相手に望む“条件”はいくつか頭の中に浮かんでいた。
例えば――
年齢は近い方がいい。
価値観が合う人。
笑顔が素敵な人。
あとはできれば、仕事を理解してくれる女性。
そして、海外生活に抵抗のない人。
(でも…それって、“条件”だけだよな)
「……なんというか、“安心できる人”ですかね」
ようやく絞り出すように言った。
「安心、ですか?」
佐藤が柔らかく問い返す。
「海外転勤のこととか、自分の忙しさとか、色々あるんですけど。そういうのを全部話しても引かないで、一緒に未来を考えてくれる人がいいなって」
それは、翔がこれまでの恋愛で感じてきた“諦め”の裏返しだった。
たとえば、大学時代の恋人は、将来は地元で暮らしたいという人だった。
最初は「大丈夫だよ」と言っていたが、いざ内定先が商社と決まり、将来の転勤の話をしたとき、ふたりの距離は一気に開いた。
「結婚って、“環境のすり合わせ”だけじゃないです。
むしろ、“不確定な未来にどう向き合うか”を一緒に考えてくれる人かどうかが、すごく大事です」
佐藤はそう言いながら、翔のライフスタイルや価値観を一つずつ丁寧に聞いていった。
今の自分を見つめ直す
「毎日、どのような生活を送られてますか?」
佐藤の質問に、翔は答えた。
・毎朝7時には家を出て、帰宅は遅いときで22時過ぎ
・土日も仕事の連絡が入ることがある
・休日はスポーツジムに行ったり、ランニング
・野球やサッカー、バスケなどの観戦も好き
・ただし、将来的には家庭の時間をちゃんと持ちたい
・海外赴任があるかもしれないが、転職の予定はない
・子どもはほしい。できれば2人くらい
翔は、毎日の生活や休日の過ごし方、将来のライフプランについて、思いつくままに話していった。
その話に対して、佐藤は、
「“仕事は忙しいけど、家族の時間も大切にしたい”。
それ、私が海外駐在していたときの夫婦にも多かったですよ。
今って、どちらかを諦めない家庭を作るご夫婦、増えています。」
翔は思わず聞いた。
「佐藤さん、ご自身も海外で生活されてたんですよね?」
「はい。駐在員の妻として2年半ほど、アメリカのシカゴで。
ですので、パートナーの立場としても、どんな不安や支えが必要か、少しは実感としてお伝えできるかもしれません。」
翔は、少しだけ気持ちが軽くなるのを感じた。
(この人が間に入ってくれるなら、ちゃんと未来の話ができそうだ・・・)
“条件”ではなく、“感覚”で選んだ最初の出会い
初回カウンセリングで、その場で入会を決めた翔は、急ぎ必要書類を準備し、契約から1週間後には、活動スタート。
佐藤と一緒に作り上げたプロフィールを「公開」し、お相手検索ができるようになった。
IBJの会員情報は、職業、学歴、家族構成、趣味などが丁寧に記載されていて、
アプリで感じた“プロフィール詐欺”のような不信感はまるでなかった。
だが、それでも翔は少し戸惑っていた。
どの人も魅力的なのだが、「選び方がわからない」のだ。
「条件で絞ると、すぐに“スペック比較”みたいになってしまう」
翔はそう感じていた。
そんなとき、佐藤から1通のメッセージが届いた。
「高橋さんに、“話してみたい”と思っていただけそうな方がいましたので、1名ご紹介しますね。
お写真とプロフィールを添付します。
実は、彼女も“海外で暮らすかもしれない人生”を前提に、真剣に婚活されています。」
紹介されたプロフィールは、31歳の女性。
職業は語学教室の講師。
学生時代に1年間カナダに留学していた経験があり、英語も日常会話程度なら問題なし。
趣味は読書とジョギング。好きな国はオーストラリア。
そして――
「将来どこに暮らしても、家族が一緒なら大丈夫だと思っています」
というコメントが目に飛び込んできた。
(この人、なんか……自然体だな)
それが翔の第一印象だった。
写真の女性は、飾り気のない淡いピンクのブラウスに優しい笑顔を浮かべていた。
翔はゆっくりスマホを置き、深呼吸をした。
「お見合いしてみよう」
それが、“条件”ではなく、“感覚”で選んだ最初の出会いだった。
(第2話・了)