女性に優しくするのをやめた瞬間、モテ始めた男の話
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大学時代からの友人に、Kという男がいる。
この人ほど素直でいいやつを、私は他に知らない。とはいえ、スマートにエスコートするタイプではまったくない。ただ、誰かが話しはじめたら最後まで遮らずに聞くし、誰かの悪口を言っているところを一度も見たことがない。飲み会で下ネタが始まると、ひとりだけ困った顔をしている。学生時代からずっとそうだった。
そのKが、28歳の秋に、居酒屋のカウンターで頭を抱えていた。
「アプリで半年で5人に会ったけど、毎回2回目のデートでフェードアウトされるんだよね」
一度目は普通に終わる。ところが、二度目の帰り道から返信が遅くなり、そのまま消えていく。それが5回続いていた。
「なんでもいいよ」の半年
私は仕事柄、この手の相談を聞く機会が人より多い。だからその場で、実際のやりとりを再現してもらった。デートの日程を決めるところから、私が女性役をやる。
👩「Kくん、日曜って何時からがいい?」
👨「俺はいつでも大丈夫。合わせるよ」
👩「お店とかどうする?」
「うーん、どうしよっか、〇〇ちゃんの好きなところでいいよ!」
そこで止めた。
👩「K、これ、優しさのつもりだよね?」
👨「うん、相手の希望を優先したいんだから」
👩「それ、向こうからは『何も決められない人』に見えてるよ」
こいつは本気で驚いた顔をした。当たり前だと思う。半年間、良かれと思ってやり続けてきたことなのだから。
女性は、自分が何を好きかを知らない
ここで身も蓋もない話をする。
女性は意外と、自分の好きなものが自分でもよく分かっていない人が多い。
「何食べたい?」と聞かれて即答できる人は、そんなに多くない。「どこ行きたい?」も同じだ。頭の中にあるのは「これは嫌だな」というなんとなくの感覚だけで、積極的な正解を持っているわけではない。
だから「何がいい?」という質問は、相手にとって助けにならない場合がある。
「いつも私が決めてばっかり。たまにはそっちから提案してよ」
これは、女性から本当によく出てくる本音だ。
優しさの種類
優しさには二種類ある。
一つは、下からお伺いを立てる優しさ。
「どうする?」「大丈夫?」「合わせるよ」相手を立てているようでいて、判断を全部相手に投げている。
もう一つは、上から引っ張り上げる優しさ。
「ここ、絶対好きだと思うから行こう」「寒いから中で待ってて」「疲れてるだろうから俺がやっておくよ」。相手の負担を、自分が引き受ける優しさだ。
女性が惹かれるのは、後者だ。
前者は「気を遣ってくれるいい人」で終わる。後者は「頼れる人」になる。この差が、いい人止まりと恋愛対象の境界線だ。
その夜、私がKに出した提案は一つだけだった。
次のデート、店を自分で決めて、理由を添えて連れて行ってあげて。
Kはかなり抵抗した。「相手の好みと違ったらどうすんだよ」と三回は言われた。
「違ってもいい。そんなことで怒る女性とは元々縁がないから」
二週間後。男友達は、代々木上原の小さなビストロを予約した。前の職場の同僚に教えてもらって、自分でも三回通っている店だった。
当日、Kはこう言ったらしい。
「ここ俺の好きな店で絶対に連れてきたいと思ったんだ。ここの人参のサラダが本当においしくて、それだけは食べてほしくて予約したんだよね。」
返ってきた言葉は、こうだった。
「K君の好きなお店に連れてきてくれたんだ!嬉しい!」
その日、会話は本当に途切れることがなかった。なぜその店を好きになったのか。前の職場でどんな仕事をしていたのか。なぜ今の会社に移ったのか。Kが自分の話をすると、相手も自分の話をした。
帰り道に、彼女のほうから言われたそうだ。
「次はどこ連れて行ってくれるんですか」
半年間、彼が一度も言われたことのない台詞だった。
Kは、そのビストロの相手と付き合い、翌年に結婚した。
お伺いを立てるのは、相手に優しくしているようにみえて、自分が嫌われないための保険でもある。
決めないかぎり、外すこともない。責任も取らなくていい。半年の連敗の裏側にあったのは、優しさの皮をかぶったリスク回避だった。
決めるのは怖いし、外したら気まずい。それでも、そのリスクを引き受けた瞬間から、相手はあなたを初めて「男」として見始める。
もしあなたが今、誰よりも丁寧に女性と接しているのに、一度も恋愛感情を持たれた記憶がないなら、優しさの種類を間違っているのかもしれない。
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