【婚活小説】「人生、次のフェーズへ」エピソード#5
- 成婚者エピソード
- 婚活のコツ
- 婚活のお悩み
目次
- 30代商社マン、翔のリアル婚活ジャーニー(フィクション)
- 第5話「決意は、ふたりの覚悟になる」
- 夜景の見えるレストランでプロポーズ
- ふたりそろって成婚退会手続き
- 終わりではなく、新たな一歩
30代商社マン、翔のリアル婚活ジャーニー(フィクション)
名古屋・千種の結婚相談所「ブライダルサロンbouquet(ブーケ)」の佐藤まさよしです。
私たち夫婦が今までお手伝いさせていただいた、「海外赴任が決まった男性会員」6名のエピソードをまとめ、一つの物語(小説)にしてみました。
ここでの登場人物はカウンセラーの佐藤香織以外は、架空の人たちです。ですが、皆さん、おおよそこのような状況で入会されて、成婚退会後に一緒に海外へ赴任されています。
これから婚活を始めようと考えている方、
実際に「海外転勤」の可能性の高い方、
海外へ一緒について行きたいと考えている方へ。
私たち「ブライダルサロンbouquet」のサービスをイメージしてもらいやすいように、フィクションで紹介させていただきます。
『人生、次のフェーズへ』~海外駐在が決まった僕が、結婚相談所で見つけた「本当のパートナー」
海外転勤が決まり、一緒に赴任してくれるパートナーを探そうと決めた『高橋翔』さんが、結婚相談所「ブライダルサロンbouquet」を選び、代表カウンセラー『佐藤香織』と共に婚活をし、最高のパートナー『中村遥』さんと出会う物語です。
全8話、お楽しみください。
第5話「決意は、ふたりの覚悟になる」
「来月、正式に通達が出るらしいんです。
秋には、海外赴任になる可能性が高いって」
翔はそう言いながら、遥の反応をじっと見つめていた。
その日、ふたりは静かなレストランでディナーをしていた。
キャンドルが灯る落ち着いた雰囲気のなかで、翔は心の準備をしていた。
遥との仮交際から真剣交際に進み、すでに1か月。
お互いの生活スタイルや価値観、結婚観を何度もすり合わせてきた。
けれど、翔にはどうしても言わなければならない「現実」があった。
彼の海外赴任の話だ。
場所はまだ未定。ただ、半年以内には異動の可能性が高い。
赴任期間は3年――長くて5年。
普通なら、ためらってもおかしくない。
だが、遥は少し驚いた表情を見せたあと、ふっと笑った。
「そうなんですね。とうとう来ましたか、その話」
「……びっくり、しませんでした?」
「正直、“やっぱりな”って思いました。なんとなく、そういう話が近い気がしてたから」
翔は少し息を吐いた。遥の冷静さと、柔らかさに救われたような気がした。
「実は、僕の中で、“結婚”っていうものがはっきりしたのは、遥さんと出会ってからなんです。
それまでは、“理解してくれる人がいればいい”って思ってたけど、今は、“一緒に人生を歩みたい人”が欲しいんだなって気づいて」
遥はまっすぐ翔を見て、静かに言った。
「わたしも、そうです。翔さんと一緒なら、どこに住んでも大丈夫だと思う。
ただ……」
「うん?」
「ちゃんと、“覚悟”を持って、一緒に行きたいです」
その言葉に、翔の胸が熱くなった。
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夜景の見えるレストランでプロポーズ
「遥さん、これからも、一緒に人生を歩んでください」
翔の手の中にある、小さな箱。
その中には、シンプルなシルバーリングが静かに輝いていた。
場所は、名古屋の夜景が見える高層レストランのテラス席。
遠くに灯る光が、静かにふたりを包み込んでいる。
遥は驚きに目を見開いたあと、すぐに笑みを浮かべた。
それは、今まで翔が見たどんな表情よりも、温かくて、幸せに満ちていた。
「はい。どこまでも、一緒に」
その言葉に、翔は大きく息をついた。
緊張で固くなっていた肩が、ふっと緩む。
(この人となら、どんな未来もきっと乗り越えられる)
海外赴任が正式に決まり、場所はシンガポール。
翔にとってはキャリアのステップでもあり、大きな転機でもある。
そしてその転機を、一緒に迎えてくれる人が、遥だった。
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ふたりそろって成婚退会手続き
翌週、ふたりは「ブライダルサロンbouquet」を訪れた。
担当カウンセラー・佐藤香織が笑顔で迎えてくれる。
「おめでとうございます!おふたりから連絡をいただいて、本当にうれしかったです」
翔と遥は並んで座り、照れくさそうに目を合わせた。
「改めて、成婚退会の手続きをお願いしたいです」
「彼女にプロポーズをして、受け取ってもらいました。海外赴任の準備も進んでいますが、その前にきちんと入籍して、一緒に向こうでの生活を始める予定です」
佐藤はそっと手を合わせながら、頷いた。
「おふたりは、最初から“相手を受け入れる力”を持っていましたね。
条件やタイミングより、“この人となら”という気持ちを育ててこられたのが、本当に素敵でした」
「私も、翔さんと出会えてよかったです。結婚相談所って、もっと堅いものだと思っていたんですけど…香織さんの言葉に背中を押されて、今日まで来られました」
遥のその一言に、翔もうなずいた。
「実は、入会前は正直、“相談所なんて自分にはまだ早い”と思ってたんです。でも今は、あのとき決断して本当によかったと心から思ってます」
佐藤は微笑みながら、最後の書類を差し出した。
「では、これで正式に“ご卒業”ですね。
成婚退会、おめでとうございます」
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終わりではなく、新たな一歩
サロンを出たあと、ふたりは少し歩いて近くのカフェに入った。
「なんだか…本当に終わったんだなぁ」
「いや、終わったというより、“始まった”って感じじゃない?」
翔のその言葉に、遥はコーヒーカップを置いて笑った。
「たしかに。私たちの結婚生活、始まったばかりだもんね」
ふたりはその日、将来住む街のこと、現地での暮らし、結婚式のこと、そしていつか持ちたい家族のかたちについて、ゆっくりと語り合った。
それは、“恋の終わり”ではなく、
“人生のパートナー”として歩み始めるための、新たな一歩だった。
(第5話・了)