疫病の流行と村の封鎖
新型肺炎ウィルスによる武漢市が重なった
目に見えぬウィルスは、
今も昔も変わらない恐怖であることを思わせる一冊
芽むしり仔撃ち / 著:大江健三郎
新潮文庫
大江健三郎氏は、ノーベル文学賞受賞した
日本文学の頂点に立つ作家の一人です。
物語は大戦末期
村に集団疎開した、感化院の主人公”僕”と
その弟、そして感化院の仲間たちの話
村にて疫病が流行し
村人たちは感化院の主人公らを
置き去りにして逃げ、
交通網を断絶された彼らには
封鎖された村の中で、動物から感染したであろう、疫病の恐怖が襲いかかります。
生への執着と葛藤、そして村に取り残された少女へ芽生えた愛と弔い。
とても繊細で躍動感のある情景の描写は
色鮮やかに目の前に浮かんできます。
そして現在―
世界を震撼させている、
新型肺炎ウィルスによってその感染元である、
中国武漢市は封鎖され、交通網も絶たれた状況に、この物語が重なります。
一日も早くウィルスの猛威が収まり、平穏な日常の生活が送れるよう心より願ってます。