九段南マリッジオフィス

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【カウンセラーコラム】 パートナーシップのコツ

  • カウンセラーの日常
九段南マリッジオフィス「【カウンセラーコラム】 パートナーシップのコツ」-1

母の毎日の常套句:「私、今日はなんか調子が悪いの」

これが出ると、わたしは、「毎日同じこと言ってるね」と言ってしまう。


母は、デイサービスの方がお迎えに来ても待たせて平気な人。

「いいのよ、そんなに急がなくても」と図々しいことを平気で口にする。

私は毎朝イライラしてしまう。

「皆さん忙しいのよ!」

「なんでいつも待たせて平気なの」

朝から大声を出すことも。耳が遠いのもあるのだが。


デイサービスのない日は、朝食後はいつもの「なんか調子が悪い、ちょっと休むわ」のセリフと共に、テレビの前のリクライニングチェアに向かう。


座って30分も経たないうちに、部屋には大きないびきが響き渡る。

お昼どきに声をかけるまで、母は口を開けてダラーとした様子でいびきをかいて寝ている。

その姿は、正直、情けなく、わが親もここまで老いたか、とやり切れない気持ちになってしまう。

「お昼どうする? 何食べる?ずっと寝てたね」

と声をかけると、母は決まって、「寝てない。起きてた。ちょっと寝てたけど、途中から起きてた」

毎回こうである。


「いびきをかいてたよ」と言っても、「起きていた」と譲らない。

認知機能が衰えてストッパーが外れたせいもあるが、元々こういう人だった。

認知機能が低下した分、性格がそのまま濃く出ているイメージだ。


母は、一筋縄ではいかない性格をしている。

「長谷川町子さんの『いじわるばあさん』って、子供の頃はフィクションだと思ってたけど、ああいうおばあちゃんは実在するんだね」

「まさにここにいたねー」と姉とよく話す。

母をいじわるばあさんに例えて笑い合えるなんて、姉がいて本当に良かった。


母の理屈は、いつも自分を中心に回っている。

自分が食べたくないものがあると、母は「あなた足りるの? 私のをあげるわ」と、さも親心のように勧めてくる。

私が断ると、「じゃあ捨てるしかないね」といつも軽く脅してくる(笑)


自分の好物であれば、人の分まで平気で食べる。

指摘すると、「あなたが私のために取っておいてくれたんだと思った」と、まるでこちらに非があるかのように言い訳をする。


嘘や人のせいにすることは日常茶飯事。

ストイックなことは決してせず、自分が楽な方へ、快適なほうへ、全く葛藤することなく進んでいける人。

非を指摘すれば「バカな親だと思って諦めて。私を反面教師にしたらいいでしょ」と逆ギレするから話し合いなど元よりできない。

たまに見せる気遣いのようなものは、自分が「良い人」に見られたい時か、自分のため。

そんな人だ。


学生の頃、私は母に向かって「内省というものを一切しないよね」と言い放ったことがある。

自分ほど正直で嘘をつかない善良な人はいない、ようなことを母が言ったからだ。

私は心底驚いた。


私は次第に、母娘の確執を描いた小説を読んでは密かに留飲を下げ、「立派な母親だったら、逆にプレッシャーになって私が潰れていたかもしれない」と思うことで自分を納得させていた。


そんな母が、今、私と同居している。

母にとって私は「うるさいけれど、真面目に自分の面倒をみてくれる自分にとって都合の良い存在」なんだと思う。


私はなぜ母と居るのか。

理由はシンプルで、自分の中に後悔を残したくないから。

それだけのつもりだった。


それが、最近、母に対する見方が少し変わってきた。

一切内省せず、葛藤とも無縁なその姿に、私はある種の「生きる強さ」を感じるようになった。

どれだけ周囲を振り回そうが、自分を全肯定して生き抜くそのタフさ。

全くブレないことに感心すらするようになってきた。

私や姉に図太さ・鈍感さがあるとしたら、それは紛れもなくこの母の遺伝だろうし。


母にとって都合のよい私でもいいかな、とも思う。

お役に立てているのならまあいいか、最近はそう思うようになったのだ。


最近の私は、母との不毛なやり取りがあると、「今日、こんなことがあったので、頭にきたの。どうしたらいい?」とAIに言いつけるようになった。

AIの回答は、すり寄ってくる感じが鼻につくし、表現は大げさで白けてしまう面もあるのだが、私はとても重宝している。

AIに聞いてみよう、このワンクッションで先ず怒りが少し落ち着き、尋ねるために怒りを言語化するうちに気持ちは更に落ち着く。

もちろんAIの回答もとても参考になる。


今日もリクライニングチェアからは大きないびきが聞こえてくる。

だけど、「寝てない」と又言うのだろう。

やれやれと思いながら、私はスマートフォンを開く。


――さて、なぜこんな私の日常をお話したかというと、これは、パートナーシップにおける「人間関係」に通じるものがあるかもしれない、と思ったからです。


「なんでこの人はこうなんだろう」「どうして?」と相手にイライラしてしまうことはありませんか?

相手を変えようとしても、人間そう簡単には変わりません。


大切なのは、自分の「捉え方」を少し変えてみること。そして、イラッとしたら一歩引いて、状況を客観的に「言語化」してみることです。


完璧に分かり合える相手はいません。

「お互いに知恵を使いながらそれなりにうまくやっていく」それこそが、持続可能なパートナーシップのコツなのかもしれません。


そんなことを考えました。


九段南マリッジオフィス

カウンセラー大西直子

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