婚活にネガティブ・ケイパビリティは必要?【婚プロ104】
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婚活にネガティブ・ケイパビリティは必要?
婚活プロファイリング104
こんにちは。
結婚相談所 紅絲線(こうしせん)の
堀越(ほりこし)です。
🔷前回は、
8月末時点の最新データとして、
登録会員数・新規入会者数・
お見合い成立数・成婚数について
解説しました。
🔶今回は、
「婚活にネガティブ・
ケイパビリティは必要?」
についてお話しします。
◆婚活は「わからない」の連続
お見合いを申し込んだけれど、
返事が来ない。
お見合いをしたけれど、
お相手の気持ちがまだわからない。
仮交際になったけれど、
結婚するかどうかもわからない。
LINEの返信が遅い、
デートの日程が決まらない、
昨日と今日で様子が違う。
婚活には、そんな
「わからない時間」があります。
そして、この時間に
人の心は動きます。
不安になる。
答えを知りたくなる。
早く白黒をつけたくなる。
けれど婚活では、
「すぐには答えが出ない時間」と
上手につき合えることで、
お相手を冷静に
見られることもあります。
そこでぜひ知っていただきたい
言葉があります。
「ネガティブ・ケイパビリティ」
です。
◆約200年前に生まれた言葉
この言葉が生まれたのは、
今から約200年前、
1817年のイギリスです。
生み出したのは、
イギリスのロマン派詩人
ジョン・キーツでした。
キーツは1795年に生まれ、
1821年2月23日に肺結核のため、
わずか25歳で亡くなりました。
短い生涯でしたが、
後世の文学に大きな影響を
残した詩人です。
1817年12月、
キーツは弟たちに宛てた
手紙の中で、
「Negative Capability」
という言葉を使いました。
◇きっかけは友人との会話
この言葉が生まれた経緯も
興味深いものです。
キーツは友人のブラウン、
ディルクと
クリスマスのパントマイムを
観に行きました。
その行き帰りの会話の中で、
いくつもの考えがつながり、
あることに気づきます。
優れた文学者に必要な力とは
何だろうか。
そこでキーツが思い浮かべたのが
シェイクスピアでした。
不確かなこと、
疑わしいことの中にいても、
すぐに答えを求めて、
無理に結論を出そうとしない力(ちから)。
キーツはそれを
「ネガティブ・ケイパビリティ」
と呼んだのです。
◇「わからない」を抱えていられる力(ちから)
わかりやすく言えば、
「わからないことを、
わからないまま
抱えていられる力」
です。
これは「考えなくていい」
という意味ではありません。
諦めることでも、
我慢することでも、
問題を放置すること
でもありません。
不安だから、
早く安心したいからといって、
答えを勝手に作ってしまわない。
必要であれば相手に尋ね、
事実を確かめる。
それでも今は答えが出ないなら、
「今は、まだわからない」
という状態を受け入れる。
これがネガティブ・
ケイパビリティです。
◇なぜ今、注目されているのか
ネガティブ・ケイパビリティが
注目される背景には、
簡単に白黒を
つけられない問題が
増えていることがあります。
すぐに「正解・不正解」を
決められないことに対して、
わからない状態に耐えながら、
粘り強く考え続ける。
そうすることで、
最初から答えを決めつけたり、
問題そのものを取り違えたりする
ことを防ぎ、
必要に応じて考え直すことが
できます。
もう一つ大切なのが、
他者への共感です。
自分の考えや価値観を
いったん脇に置いて、
「この人は、なぜ
こう感じるのだろう」
と相手の立場から考えてみる。
すぐに自分の答えを
当てはめようとしないことで、
相手の複雑な感情や、
自分とは異なる考え方にも
目を向けやすくなります。
これは婚活でも同じです。
「私はこう思う。
だから相手も同じはず」
と決めつけるのではなく、
「相手には相手の考えが
あるのかもしれない」
という余白を持つ。
ネガティブ・ケイパビリティは、
単に「答えを待つ力」ではなく、
相手を理解しようとするための
土台にもなるのです。
◆文学から医療・心理臨床へ
◇精神分析への広がり
キーツがこの言葉を使ったのは
文学についてでした。
けれど約200年を経て、
文学だけの言葉では
なくなっていきます。
20世紀には精神分析家の
ウィルフレッド・ビオンが、
この考え方を精神分析の
世界で発展させました。
人の心は、
簡単にはわかりません。
支援する側が、
「原因はこれです」
「あなたはこういう人です」
と早急に決めつければ、
大切なものを
見落としてしまいます。
わからないものを
わからないまま抱えながら、
相手を見て、話を聞き、
考え続ける。
その姿勢は、
心理臨床や医療、
福祉の分野にも
広がっていきました。
◇医療にも「答えが出ないこと」がある
私は、ビハーラ僧として
余命宣告された方々に
寄り添う活動もしております。
患者さんがつらい思いをしていても、
検査だけでは
原因がわからないことがあります。
孤独、家族、仕事、
経済的な問題、生きる意味。
人の苦しみには、
薬だけでは解決しにくいことも
あります。
そんなとき、
「わからないから終わり」
ではなく、
わからない状態のままでも
そばにいて、話を聞き、
一緒に考え続ける。
今の医療や対人援助の世界でも、
この姿勢と
ネガティブ・ケイパビリティとの
関係が論じられています。
◆婚活に置き換えてみると
ここからが
婚活プロファイリングです。
婚活にも「答えの出ない時間」が
たくさんあると
私は思っています。
◇空白を「悪い想像」で埋めない
仮交際中の女性が
お相手の男性にLINEを送りました。
昨日はすぐに返信があったのに、
今日は夜になっても来ません。
「嫌われたのかしら」
「ほかに交際している女性が
いるのでは」
そして、
「もう交際終了かもしれない」
と考えてしまいます。
ここで一度、
今わかっている事実を
整理してみましょう。
「LINEの返信が、
まだ来ていない」
これだけです。
嫌われた。
ほかの女性を選んだ。
というのは、
まだ事実ではありません。
人は、わからない状態が続くと、
その空白を悪い想像で
埋めたくなります。
仕事が忙しいのかもしれない。
急用が入ったのかもしれない。
文章を考えているのかもしれない。
今の時点では、
ただ「わからない」のです。
この「わからない」を、
勝手に「嫌われた」に
変えないことが、
婚活に必要な
ネガティブ・ケイパビリティです。
▽お見合いでも同じです
初めて会って、
悪い人ではなかった。
嫌でもなかった。
でも「よくわからない」から
お断りする。
明らかな違和感や
条件の違いがあれば、
無理に交際する必要はありません。
しかし、
「嫌だった」のではなく
「まだよくわからない」のなら、
もう一度会ってみるという
選択肢もあります。
一度目に見えなかったものが、
二度目、三度目に
見えてくることがあります。
恋愛の第一印象と、
結婚生活の相性は、
必ずしも同じではありません。
▽「ときめかない」と「合わない」は違う
お見合いで胸が
ドキドキしなかったから、
結婚相手ではない。
本当にそうでしょうか。
長い結婚生活では、
安心する、無理をしなくていい、
話を聞いてくれる、
一緒に考えてくれる、
黙っていても気まずくない。
そうした安心感を重ねるうちに、
相手が大切な存在になっていく
こともあります。
最初からすべてを
決めなくてもよいのです。
▽仮交際は答えを急がない期間
仮交際になった途端、
「結婚できますか」
と聞かれることがありますが、
一度会っただけでは
私にもわかりません。
だからこそ仮交際という
時間があります。
食事をする、話をする、
小さな約束を重ねる。
時間を守る人か。
店員さんへの接し方はどうか。
違う意見を聞いたときの
反応はどうか。
そうやって少しずつ
相手を知っていきます。
人はプロフィールだけでは
わかりません。
だからこそ時間を使って
見るのです。
▽違和感まで我慢することではない
ネガティブ・ケイパビリティは、
何でも我慢することでは
ありません。
暴言、約束を何度も破る、
人を見下す、嘘をつく。
こちらが嫌だと
伝えていることを
繰り返す。
明らかな事実があるのに、
「まだわからないから」
と我慢し続けるのは、
ネガティブ・ケイパビリティとは
違います。
見るべき事実はきちんと見て、
まだ事実になっていないものは
想像だけで決めつけない。
この二つを分けることが
大切です。
違和感を無視するのではなく、
答えを急がず、
よく見るということです。
◆仲人にも必要な力
私は仲人にも、
この力が必要だと
思っています。
仲人として37年、
多くのご相談を
受けてきましたが、
一度の相談だけで
すべてわかるとは
思っていません。
何が起きたのか。
実際に言われた言葉は何か。
その前後に何があったのか。
同じことが繰り返されているのか。
一つずつ見ていく必要が
あります。
人と人との関係は、
すぐ答えが出るものばかりでは
ありません。
答えが出るまで
一緒に考えることも、
仲人の仕事だと思っています。
◆結婚生活こそ答えのないことだらけ
ネガティブ・ケイパビリティが
本当に必要になるのは、
結婚してからではないかと
私は思います。
仕事、転職、転勤、住まい、
お金、親、子ども、
病気、介護、老後。
どちらか一方が正しくて、
どちらか一方が間違っている。
そんな問題ばかりでは
ありません。
どちらにも事情があり、
どちらの気持ちもわかるからこそ、
答えが出ない。
そんなとき、
「あなたが間違っている」
とすぐに白黒をつけるのではなく、
「今は答えが出ないね」
「もう少し二人で考えようか」
そんなふうに、
二人で答えを探していける
関係もあると思います。
◇二人で答えを待てる夫婦
結婚して何年か経った二人に、
大きな問題が起きたとします。
すぐには答えが出ません。
それでも夫婦のどちらかが
相手を責めるのではなく、
「困ったね」
「でも、一緒に考えよう」
と言い合える。
答えはまだなくても、
二人は同じ側にいます。
夫婦が向かい合って
戦うのではなく、
隣に座って同じ問題を
見ているのです。
◇待つは何もしないことではない
相手を見ながら待つ。
事実を確かめながら待つ。
自分の心を整えながら待つ。
必要なときにはきちんと尋ね、
わからないことを
勝手な想像で決めつけない。
「待つ」というのも、
立派な行動なのです。
◆身・口・意を整える
紅絲線(こうしせん)式の
婚活プロファイリングでは、
身(行動)
口(言葉)
意(心)
を整えることを大切にしています。
身。
不安になったからといって
衝動的に行動せず、
まず事実を確認する。
口。
「どうせ私のことなんて」
と決めつけて言わず、
「少し気になっているのですが」
と穏やかに尋ねる。
意。
わからないものを
わからないまま、
少し置いておく。
不安と事実を一緒にしないこと。
この三つを整えることが、
婚活でも結婚生活でも
大切なのだと思います。
◆仏教にも通じるもの
私は僧侶として、
人のお話を伺うことがあります。
なぜこんなことが起きたのか。
なぜ大切な人と
別れなければならなかったのか。
どれだけ考えても、
答えが見つからないことが
あります。
そんなとき、
無理に意味をつける必要はないと
私は思っています。
答えのない問いを抱えながら、
目の前の一日を大切にする。
ネガティブ・ケイパビリティと
仏教は同じものではありません。
けれど、
答えを急いで作らず、
今ここにあるものを見るという
姿勢には、
どこか通じるものがあるように
私は感じています。
◆婚活では未来を知りたくなる
「この人と結婚できますか」
「この交際は成婚に
つながりますか」
そう知りたくなりますが、
まだ来ていない未来の答えを
今すぐ知ることはできません。
だからこそ、
見るべきものは今です。
今日この人は私に
どう接しているのか。
私もこの人に
どう接しているのか。
二人でいるとき安心できるか。
困ったとき話し合えるか。
小さな出来事を
一つずつ見ていく。
その積み重ねの先に
未来があります。
◇わからないを悪い答えに変えない
人の心には、
今日聞けば答えが出ることと、
時間をかけなければ
見えてこないことがあります。
わからないことを、
すぐに悪い答えに変えないこと。
事実を見る。
相手を見る。
自分の心を見る。
そして答えがないものには、
「今は、まだわからない」
という場所を残しておく。
その余白が、
相手を知る時間になり、
自分を知る時間になり、
二人の関係を育てる時間に
なるのかもしれません。
何でもその場で
答えを出すのではなく、
「わからないね」
「どうしようか」
「少し考えてみようか」
と言える夫婦。
答えが出ない日は、
二人でお茶でも飲みましょう。
結婚生活には、
そんな余白があっても
よいのではないでしょうか。
💝簡単にできる行動
婚活中に不安になったときは、
紙に二つだけ書いてみてください。
1 今わかっている「事実」
2 自分が「想像していること」
たとえば、
【事実】
昨日送ったLINEに、
まだ返信がない。
【想像】
嫌われたのかもしれない。
この二つを分けて書き、
「想像」の横に
一言だけ書いてください。
「まだ、わからない」
これだけです。
わからないことを、
今すぐ答えにしなくても
よいのです。
答えを急がずにいられることが、
心の余裕につながるのかも
しれませんね。
🔶今回は、
「婚活にネガティブ・
ケイパビリティは必要?」
についてお話ししました。
🔷次回は、
「ピックアップ掲載は
無人島婚活からの脱出」
についてお話ししたいと思います。
合掌
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