週刊東洋経済「アニメ熱狂のカラクリ」⑧

アニメ制作スタジオの風雲児が「業界の悪習」打破

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週刊東洋経済「アニメ熱狂のカラクリ P50 です。
凄い方達がいて、今までの悪習を打破しようとしています。
私達が出来る事は、何か？
実情を理解して応援出来る事をする・・・ですね。

●トムス・エンタティンメント社長
竹崎 忠
「何でクリエイターがピラミッドの底辺にいるのか、わからない」

○例年10億円程度だった純利益が2022年3月期には19億円と急増。
業績は好調です。
売上高は変わっていない。
利益の急増は、アニメ制作以外の売上比率が高まったことが大きい。
ゲーム業界であれば、家庭用ゲーム機などのプラットフォーマーがいいゲームタイトルを呼び込もうと、開発者にお金を積むものだ。
業界の序列の頂点にクリエイターがいるのがゲーム業界だ。
日本のアニメ業界はその反対だ。
仕事依頼する立場が偉そうにしている一方、なぜクリエイターが最底辺として扱われているのか、わからない。

○―出資側に回る機会をいつから検討し始めたのですか。
もともと当社が著作権者の一社だった『それいけ！アンパンマン』と劇場版の製作委員会に出資できている『名探偵コナン』の2作品だけ作り続ければ、安定して年10億円強の利益を稼げる体制だった。
ただ、さらに利益を伸ばそうとすれば、出資作品を増やす必要がある。
私がトムス・エンタティンメントの社外役員に就任した08年、同じくセガ出身の岡村秀樹前社長とそういう話になった。

○大幅値上げで利益還元、
－23年4月からは、従業員の基本給を平均30%程度引き上げ。月21万円だった新卒初任給は26万円になりました。
この業界は昔から変わらない金額で作画を請け負う、職人みたいな人たちに支えられている。
業界関係者はそれが当たり前だと思っているけど、このままではアニメーターのなり手も減っていく。
当社の利益が製作とプロデュースの2段組で得られるようになったので、一定水準まで利益を引き上げられたことが大きい。
親会社のセガから賃上げに反対されることもなかった。
このニュースを聞いたベテランのアニメ監督から「アニメ業界もやっと少し変わるかも。第一歩だね」と言ってもらえて凄く嬉しかった。
（聞き手 森田宗一郎）

●「現状を肯定するあしき風習に染まりたくない
MPPA社長 大塚 学

○人気漫画『チェンソーマン』のアニメ化に当たり、アニメ制作にかかる費用の全額を自社出資したのが、業界内で話題になりました。
今は世界中でアニメが盛り上がっている。
ただグッズ化権や配信権を持つ会社はかなりの利益を稼ぐ一方、制作会社は業界内でいちばん稼げない構造になっている。
その中で利益を高めるために必要な手段として「100%出資」に挑戦した。

○ゲーム会社との違い
業界では制作外車の地位向上に諦めムードもあります。
諦めてしまうと、現状を受け入れるしかなくなる。
賃金や制作環境の問題は、自分たちで生み出している部分がある。
私も業界に入ってもうすぐ20年になるが、「アニメは稼げない」とか「アニメはこういうもの」という、現状を肯定するあしき風習が今もある。
当社は11年設立。
その生き方を学ぶにはまだ若すぎる。
自分たちの可能性を自分たちで潰したくない。
今も世界中で作品を見ていてくれる人がいて、自分たちは生まれている。
だからこそやらなければと思っている。

○―今後何がリスクようになると考えますか。
直近のリスクは、海外大手配信プラットフォームの動向だ。
少し前はパチンコ案件が全盛期だったが、沈静化した。
時代とともに需要は移り変わる。
何か1つの事業に頼ってしまうのは危険で、それぞれの時代に応じて必要とされることが大切だ
（聞き手 高岡 健太）

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