婚活迷宮の田中さん
婚活3年目の田中さん(仮名)は、公務員として堅実なキャリアを築きながらも、婚活の壁にぶつかっていました。
有名大学卒業の肩書が幸いし、お見合いの申し込みはコンスタントに来るものの、交際に進むケースはほとんどなく、たまに進展しても2、3回のデートで終わってしまうのです。
その状況に行き詰まりを感じ、大手の結婚相談所を離れ、婚活カウンセラー早川のもとへやってきました。
婚活で、"劣等コンプレックス"がもたらす影
「自分は外向型で、行動的で、前向きな性格です。人付き合いも得意なほうで、知的な会話も好きです。」初対面での田中さんの自己紹介は虚勢に満ちているようでした。彼の話しぶりには、くぐもった声と自意識過剰な雰囲気がにじみ出ており、その印象が相手にも伝わりやすいように思えました。
また、ユングのいう男性性・女性性で考えると、彼の性格は女性性が高いタイプと言えそうです。
問題の本質は、彼が世間の常識に縛られ、自分の中にある女性性(優しさや共感性)を受け入れられずにいること。
そして、その根底には"劣等コンプレックス"が潜んでいるようでした。田中さんは自分の弱さを認めることを恐れ、それを隠すために完璧な外見や学歴に頼る傾向がありました。
田中さんのプロフィール写真は、雑誌の広告モデルのように完璧でしたが、実際に会うと表情や仕草に幼さと硬さが残り、どこかおどおどして見え、明らかにアンバランスでした。
それ以上に早川を驚かせたのは、彼が申し込んでいるお相手の女性が、タレントか花形アナウンサー並の容姿の女性ばかり!この二重三重の"ギャップ"が婚活における最大の障壁となっている可能性が高いと感じました。
婚活で、自己受容への険しい道
そこで、早川はやんわりと指摘しました。「田中さん、写真と実際の印象が少し違うかもしれませんね。もっと自然な雰囲気を写真に反映させてみませんか?」
すると、彼の表情が曇り、沈黙のあと「ネガティブなことは言わないでくれますか。」と返ってきました。
その一言で感じたのは、彼の"傷つきやすさ"は自己愛(ナルシシズム)の一面が影響しているということでした。他者からの評価に敏感で、自分の弱点に目を向けられない。この特性が、彼の婚活における"ミスマッチ"を生んでいると考えました。
「自然体で接する」というのは簡単そうに聞こえますが、実際には自己を見つめ直し、思考や行動を根本から変える大変な作業です。次のセッションで、早川は彼にこう提案しました。
「田中さん、本当に結婚したいなら、婚活の成功は相手に自分の"本当の姿"を受け入れてもらうことがカギになります。でもそのためには、まず自分自身が自分を受け入れる必要があります。」
彼は戸惑いながらも、「具体的にはどうすればいいですか?」と前向きに応じました。
早川は笑顔で答えました。「例えば、カメラの前で大笑いしてみるのはどうですか?心から楽しむことで、本来の魅力が引き出されるはずです。」
さらに、彼には自己観察の宿題も課しました。お見合いやデートでの振る舞いを具体的に振り返り、自分の言葉や態度がどのように映っているのかを、一緒に見つめてもらう作業です。
結婚に向かって、新しい一歩
この過程は決して楽ではありませんでした。挫折しかけた彼を励まし、少しずつ進んでもらいました。
そして3か月後、田中さんは新しいプロフィール写真を持参しました。それは作り笑顔ではなく、自然体の表情が映し出されたものでした。 さらに彼の態度にも変化が見られました。
「以前は、お見合いで断られるたびに"自分はなにがダメなんだ?"と疑っていました。でも今は、"自分にも合う人がいるはずだ"と考えられるようになりました。」
その後、彼は素の自分が出せる婚活パーティーで、一人の女性と出会い、少しずつ関係を深めていきました。「まだ自然体でいるのは難しいですが、彼女といると肩の力を抜ける感じがします。」と、嬉しそうに報告してくれました。
婚活は、相手を探す旅であると同時に、自分を知る旅でもあります。その旅には試練がつきものですが、もし田中さんがあのまま誰からも指摘されず、人生を歩んでいたとしたらどうでしょう?自己受容という小さな成功が、大きな成長への第一歩となります。
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