お花見なんて、何年ぶりだろう。春が来ても、桜をゆっくり眺める時間なんて、なかった。ベビーカーを押して、スーパーに向かう途中。その道にある桜の木の下を、ほんの少し通るだけ。それが、私と子どもの“お花見”だった。それでも、子どもがかたことで「……きれい、ね」って言ってくれた時、その小さな声が、私の心をそっとあたためてくれた。

約束の時間まで、あと2時間。久しぶりにメイクを丁寧にして、選んだ服を何度も見直して——気づけば、鏡の前で何度も深呼吸していた。「変じゃないかな」「浮いてないかな」そんな不安もあったけど、心の奥ではずっと、**“少しでも素敵に見られたい”**って思ってる自分がいた。

お見合いを終えてすぐに、私は彼に交際希望を出しました。迷いはなかったけれど、彼からの返事を待つ時間は、想像していた以上に長く感じられて——「もし、断られたらどうしよう…」胸がぎゅっと締めつけられるような思いで過ごした今日。だからこそ、「交際希望」という彼からの返事を見た瞬間、胸の奥で、何かがやさしく震えたんです。

恋って、なんだったっけ。そう思うくらい、遠ざけてた気がする。「子どもがいるのに」「母親なんだから」——そんな言葉を、自分の中で何度も繰り返していた。“恋したい”なんて、欲張りなのかなって。ずっと、そう思ってた。

今日は、久しぶりにヒールを履いて出かけた。ネイルも整えて、髪も巻いて、“お母さんの私”じゃなく、“ひとりの私”に少しだけ戻ってみた。いつもは、スニーカーに野球帽。動きやすくて、子どもを追いかけるにはそれがいちばん。お見合いの日。子どもの送り迎えや買い物とは違う、特別な時間。ほんの少しでいいから、「母親」じゃなく「私」を見てくれる人に出会いたかった。

ある日、ブログを読んでご連絡くださった女性がいました。シングルマザーで、4年付き合っている彼がいるけれど——「結婚する気はないみたいで…このままでいいのかなって」そんな言葉を、ぽつりとこぼしてくれました。彼女は自分でも気づいていたんです。“未来が見えない関係”だってこと。でも、長く一緒にいると、情もあるし、子どもとの関係もあるし、すぐには決断できない。それが、リアルな気持ちでした。

「今日は本当に素敵な時間でした」お見合いの別れ際、男性からのひと言。「ありがとうございました。」……もちろん、丁寧な挨拶です。でもそれだけだと、なんとなく“形式的”な印象が残ってしまうこともあるのです。実際に、あるシングルマザー会員Tさん（34歳）はこう話してくれました。Tさんの体験談より「お見合いの最後に、“今日は本当に素敵な時間でした”って言ってもらえて。その瞬間、“あ、ちゃんと私との時間を大切にしてくれてたんだ”って感じて、とても嬉しくなりました。一人の女性として向き合ってもらえた気がして……ちょっと胸があたたかくなったんです。」シングルマザーとして日々を忙しく過ごしている女性にとって、“自分のための時間”を作って婚活に臨むというのは、簡単なことではありません。そんな中で出会った男性が、そのひとときを“価値ある時間”として伝えてくれると、心に残るものなんです。

実際のエピソード（36歳会員Tさん）お見合いの中で、彼女が何気なく話した「朝は保育園に送ってから出社して…」という話。男性はふと、こう言ったそうです。「すごい…。僕なんて自分のことでいっぱいいっぱいなのに、お子さんのことも考えながら毎日ちゃんと動いてるなんて、本当にすごいです」Tさんはこの言葉に心を打たれたそうです。「大変さを理解しようとしてくれてるのが伝わって、“私だけが頑張ってるんじゃないかも”って、なんだか少し肩の力が抜けたんです」

お見合いの場で、何気ない会話の中に「この人、素敵だな」と感じる瞬間があります。今回は、36歳のNさんの体験談をご紹介します。お見合いの途中、彼女が子供の話をしたときのこと。男性がすっと、こんなふうに言ってくれたそうです。「週末は、お子さんとどんなふうに過ごしてるんですか？」ただ年齢や性別を聞くのではなく、“どんな時間を過ごしているのか”に関心を持ってくれたことが、とても嬉しかったそうです。「動物園によく行きます」と答えたNさんに、彼はにっこりと、「一緒にお弁当とか持って行ったりするんですか？楽しそうですね」そんなふうに言葉を添えてくれました。子どもがいることを“重たく”捉えられると、女性はつい身構えてしまうもの。でも彼はまるで3人で動物園に行って楽しく過ごしている時間を想像させてくれたんです。Nさんはこう話してくれました。

Tさん（34歳）は、お見合いが終わり、解散のタイミングで男性から思いがけないひと言を受け取りました。「今日はありがとうございました。これ、「お子さんと一緒にどうぞ」」そう言って、手さげ袋に入ったクッキーを渡されたのです。プロフィールでお子さんが4歳であると確認しての行動だったようです。その場では驚きもあったそうですが、Tさんは後になってこう思ったと話してくれました。「私のこと、ちゃんと見てくれていたのかな？親子の時間まで気にかけてくれるような、自然でやさしい気づかいが伝わり嬉しかったです。」もちろん、これは状況やタイミングによって印象が変わることもあります。