48歳・初婚──母を許したら、彼への愛が戻ってきた。後編
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絢子と健次郎の熟年婚、成婚物語【後編】
前編のあらすじ
48歳で初婚を目指した写真家・絢子は、母との確執を抱えたまま恋に臆病になっていた。お見合いで出会った情熱的な男性・健次郎とスピード婚約するも、彼の嫉妬や支配欲に苦しみ、婚約を解消。カウンセリングを通して「愛とは我慢ではない」と気づいた頃、健次郎から一本のメールが届く──「会ってほしい」。
再会
再会した健次郎は、少しやつれていたが、穏やかに見えた。けれどその目の奥には、変わらぬ情熱が灯っていた。カフェの隅でテーブルを挟み、彼は低い声で言った。
「もう一度、やり直せないかな」
絢子は答えなかった。ただ、彼の手の震えを見つめていた。──その瞬間、絢子は気づいた。彼の中に、母がいた。愛し方が不器用で、独占欲が強く、そしてどちらも孤独だった。彼を愛することは、母を理解し直すことでもあった。
「母を許すことは、彼を許すことでもあったのかもしれない」
子供の頃の母との関係が、恋愛心理に影響
人は無意識に、親との関係を恋愛に持ち込む。それは呪いではなく、“もう一度癒すための再現”だと絢子は知った。カウンセリングで学んだ心理学の言葉──“投影”。
彼女は気づいた。自分は“合わせることで愛を守ろう”としていた。母を安心させるように、相手をなだめ、怒らせないようにしてきた。相手の顔色をうかがっていた。でもそれは、愛ではなく恐れだった。今ならわかる。
「愛とは、自分を小さくすることではなく、境界を保ちながら寄り添うこと。」カウンセラーの一言が耳に残った。
対等な愛とは
再会を重ねるうちに、絢子は穏やかになっていった。もう彼の嵐に飲まれない。むしろ、自分が舵を取るようになった。頼らず、抗わず、並んで歩く。きっとこれが、カウンセラーの語る“対等な愛”なのだろう。
ある夜、彼女の記憶がほどけた。母が泣いていたあの日。今もはっきり覚えている。小さかった絢子は、心の中で誓っていた──「お母さんを幸せにする」と。それが彼女の恋愛の原型だったのだ。だが今、絢子はその言葉を静かに手放した。
“母を幸せにする”代わりに、“自分を幸せにする”。
絢子は、健次郎と再び向き合い始めた。今度は“再婚”ではなく、“再生”として。以前なら彼の言葉に怯えた場面でも、今は静かに微笑むことができた。彼も次第に変わっていった。絢子の揺るぎない態度が、彼の中の不安を少しずつ溶かしていったのだ。
再生へ
ある日のデートで、彼女は笑いながら言った。
「ダメでも強烈な人が、私は好き。だって、生きてるって感じられるから。でも、もう合わせない。」
彼は微笑み、グラスを掲げた。「それでいい。俺は君のその強さが好きなんだ。」
二人の笑顔は柔らかく、自由だった。母を許した日、恋がもう一度始まったのだ。
まとめ|成熟した愛は、自由に似ている
熟年婚とは、過去の自分を抱きしめ直すこと。誰かに愛される前に、自分を愛し直す勇気を持つこと。許しは相手のためではなく、自分の心を軽くするためにある。
「いくつになっても、人はやり直せる。成熟した恋こそ、人生の再生だ。」
婚活でのカウンセリングは“出会いの確率”を上げるための技術ではない。心の整理を通して、“もう一度愛する準備”を整える時間。年齢を重ねた今こそ、恋は深く、美しくなる。
あなたも、心の再起動をしてみませんか?
過去の恋愛や家族関係から学び、もう一度“自分らしい愛し方”を取り戻すお手伝いをしています。
「年齢を理由に、愛を諦める前に──」
 
             
                