婚活彩々物語<女性編①>
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~橘 奈緒 編~②
数週間後、奈緒は3人の男性とお見合いを終えていた。
1人目の男性・遠藤さん(36歳)は、有名商社勤務で年収も高く、見た目も爽やかだった。
会話もスムーズで、奈緒も好印象だったが、彼からは「仕事優先な感じが少し気になりました」とお断りされる。
2人目の男性・中山さん(38歳)は、公務員で誠実そうな雰囲気だったが、話していてもなかなか会話が広がらず、奈緒からお断りした。
3人目の男性・斉藤さん(35歳)は、IT系ベンチャーの経営者。
条件的には申し分なく、斉藤さんも「ぜひまた会いたい」と言ってくれたため、奈緒も「悪くはないかも」と思い、仮交際に進んだ。
仮交際が始まってからの数週間。
「今日は〇〇のレストランに行きませんか?」
「今度、僕の知人が集まる会に来てみませんか?」
斉藤さんは積極的で、デートプランも華やかだったが、会話の端々に“自慢”がにじむことが多かった。
奈緒は常に、彼の話を引き立てる聞き役に徹し、笑顔を絶やさなかった。
だが帰宅後、鏡の前でメイクを落とすたびに思った。
「今日の私は、本当に楽しんでたのかな?」
ZOOMでの報告面談中、奈緒は美園にそのことを話した。
「一緒にいて、嫌ではないんです。でも……なんというか、ずっと“外側”で付き合ってる感じがして……」
美園はゆっくりと頷いた。
「奈緒さんが、心から“自分”でいられる時間は、その交際の中にありましたか?」
奈緒は首を振った。
「私……ちゃんと笑ってたけど、本当の意味では楽しんでなかったと思います。」
数日後、美園からワークシートが送られてきた。
「価値観マップ」と書かれたそのワークには、自分が人生で大切にしているものを洗い出す質問が並んでいた。
・どんなときに心が安らぐ?
・誰と一緒にいると自分らしくいられる?
・成功とは何か?
・結婚に求める本当の目的は?
奈緒は、頭ではなく、心で答えていこうと決めた。
「私が誰かに好かれるための婚活じゃなくて、私が私をちゃんと知るための婚活なのかもしれない。」
次第に、“理想の条件”にこだわることが、自分を見失わせていたことに気づき始める。
ノートに一言書き込んだ。
『条件で愛されても、心は満たされない』
彼女の婚活が、少しずつ“外に向けた戦い”から“内なる旅”へと変わり始めていた。
to be continue
【※この物語はフィクションです】