小説「100日後に退会する女子」 13日目
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13日目
カウンセラーに相談LINEをしようと思ったのに出来なかった。
なぜだろう？
通知オフにしてるから夜中でも大丈夫って言われてるのに。
・・・
単純に、気が乗らない。
・・・
やる気スイッチはどこ行った？
私は比較的やる気スイッチを押さなくても動ける方だ。
この私がこうなるとは・・・
・・・
人って、自分がやりたい事だったら何でもする。
旅行したいと思ったら、
普段は寝ている時間に起きて、決して近くない空港へ大きな荷物を持って行き、
2時間飛行機を待ち、10時間飛行機に乗り、
一瞬にして過ぎ去る時間を楽しむ。
それに対して半月分のお給料くらいのお金を払う。
・・・
ただ、やりたくない事だったら体が動かなくなる。
寒い冬、夜中に起きてトイレに行きたくなった時、
行かずに我慢して朝を迎える時だってある。
10秒歩けば到着する場所なのに・・・
・・・
この話、誰に聞いたんだっけ？
・・・
・・・思い出した。
ああ、腹立つなあ。
・・・
腹が立ってきたから、カウンセラーへLINEしよう。
私のやる気スイッチは怒りのパワーなのか？
サイヤ人みたいだ。
「ご相談です。落合さんと食事に行ったのですがお相手が自分の事ばかりお話され、少し疲れました。こういう場合、どうすればよいでしょうか？」
「ご連絡ありがとうございます。それは大変でしたね。どんな感じで落合さんは自分の事ばかりお話してましたか？」
・・・
返信はや！
ビビった。
「マシンガントークでした。一緒にいる時間ずっとお話される感じです。清潔感もあり、見た目も好みなのですが。次回もお会いしようか迷っています。」
「かしこまりました。ただ、初回なのでお相手も緊張されていたのかもしれません。見た目が好みの方とはなかなか会えないので、もう一度会ってみてからのご判断はいかがでしょうか？」
確かに。
「わかりました。ありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうございます。合わないと思ったらすぐに別れてください。宜しく御願い致します。」
・・・
すぐに別れか。
確かにそういうルールだ。
冷静に考えたら、落合さんが次に私と会ってくれるかもわからない。
こわっ。
そういえば、カウンセラーさんが言ってた。
婚活カウンセラーって楽しそうな仕事ですねって聞いた時、
「はい、楽しいですよ！ただ、成婚するカップルの影には破局するカップルがその何十倍もいます。だから辛く感じる時の方が多いかな。縁結びより、縁切りの方がメインの仕事ですね。ははははは！」
そうやんなあ。
人生って辛い事の方が多い。
だから楽しい時が輝く。
・・・
闇っていうのは暗ければ暗い程、
小さな明かりでも眩しく見える。
この話、誰に聞いたんだっけ？
・・・
・・・思い出した。
ゴーストライターを使っていた作曲家だ。
さて、明日は仕事後にお見合いだ。
