徒然妻日記 第9話 「仕事着」
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妻は、基本的に家から出なくても平気な人だ。
用事がなければ、パジャマのまま一歩も外に出ない。
妊婦になり、「安静にしていることも大切な仕事」という大義名分ができてからは、その傾向がより顕著になった。自発的に外へ出ることはほとんどないので、僕が定期的に散歩へ連れ出している。犬の散歩ならぬ、「妻の散歩」である。
産婦人科の先生からも「歩いたり軽い運動はした方が良い」と言われているのだが、自分からは動かないタイプなので、渋々ながら僕が妻を動かしている、という構図だ。
先日、向かいの家のお父さんが子どもを叱っている声が聞こえてきた。
「もう昼なのに、まだパジャマでいるのか」
「そんなにだらしないのはお前ぐらいだぞ」
「ちゃんと着替えなさい」
なかなか大きな声だったので、僕も妻もしっかり聞き取れた。
その声を聞いたあと、妻は僕の目を見て、ぽつりとつぶやいた。
「他所は他所、ウチはウチ」
その時、妻の一日中パジャマ生活はすでに3〜4日目(笑)
さらに続けてこう言った。
「私はお腹の中の子どもを育てるっていう、とても大事な仕事をしているわけだから。むしろパジャマは“仕事着”だよね」
上手いこと言うなぁ、と僕は思った(笑)。
今日も我が家では、パジャマ姿の“プロフェッショナル”が、ゆったりと大事な仕事に励んでくれている。